溶接ヒューム吸引xFUME® ROBO吸引キット
産業用MIG/MAG溶接ロボットや協働ロボット用の、ヒューム発生源からヒュームを吸引できるコンパクトなソリューション
産業用ロボット溶接や協働ロボット溶接の場合、室内吸引式吸引口からその溶接ヒュームを回収する方法が標準的なものになっております。セントラル方式の溶接ヒューム吸引システム等は、いわゆる低い吸引力の吸引装置に接続され、汚染された空気を溶接セルの中から吸引して、フィルター処理と還流によって清潔な空気が得られるとされています。しかしながら、製造現場を調べてみると、溶接ヒューム吸引装置が取付けられていないまま天井部が開放している溶接セルがまだ多く存在していることが分かることでしょう。溶接セルに隣接する場所で作業している作業者にとって、はるかに効率的で安全なヒューム吸引システムは、いわゆるヒューム発生源からヒュームを吸引する方法となります。この溶接ヒューム吸引方法であれば、有害なヒュームを高い能力の吸引装置によって、ヒューム発生源から直接吸引することが出来ます。ABICOR BINZELは、産業用溶接ロボット及び協働溶接ロボット用の、ヒューム発生源からヒュームを吸引できるコンパクトかつ高性能な溶接ヒューム吸引ソリューション製品として、xFUME® ROBO吸引キットを提案させていただき、製造現場における安全衛生の目覚ましい向上に貢献させていただければと考えております。
なぜロボット溶接にヒューム発生源からのヒューム吸引が必要なのか
溶接ロボットは、限られた短い時間内に大量の製品を製造しなければならない製造現場にて使用されていることが一般的となりますが、3交代制にて稼働している場合が多いかと思います。産業用ロボットは、かつては溶接作業者が担当していた単純溶接作業や反復動作が必要となる溶接作業の仕事量を低減させるだけでなく、労働安全衛生に対しても多大なる貢献をしてきており、それは少なくとも肉体作業を伴う溶接作業者の労働環境の改善に大きく寄与してきました。しかしながら、とりわけ溶接作業中における空気の問題についても、数年前の状況と比較してより重要な課題となってきております。溶接ヒュームの吸引は、ロボット製造ラインに携わる作業者が有害な溶接ヒュームに一見ばく露していない様に見える場合であっても、ロボット溶接工程にとって大変重要な要素となります。しかしながら、このような溶接作業環境への配慮は、未だ業界全体に浸透し切っておりません。
とりわけMIG/MAG溶接に関しては、溶接中に溶接セル内にて吸引しなければならない溶接ヒュームが大量に発生致します。通常、溶接ヒュームを据え置き型ヒューム吸引装置によって吸引している場合は、溶接セルの保守作業に従事していたり溶接セル隣接スペースにてその他の作業に従事している多くの作業者の安全衛生面が考慮されていないことが多いかと思います。仮に溶接ロボットセルや溶接用カーテンが開放されていたとすると、溶接ヒュームはその周囲の空気中に流出し、意図せずして多くの作業者の体内へと吸収されてしまうことになります。
2018年、国際がん研究機関(IARC)は、溶接ヒュームには発がん性があると公表しています。その結果、労働安全衛生の理由から、適切な集塵技術によって製造現場における清潔な空気を確保することは、企業にとって対応すべき必須項目であると周知されるようになりました。ヒューム吸引キットxFUME® ROBOは、可動式ヒューム吸引装置またはセントラル式ヒューム吸引システムのいずれかとの組み合わせによって使用することができ、この吸引キットはヒューム発生源からヒュームを直接吸引することができるため、産業用ロボット溶接セルや協働ロボット溶接セルにおける有害なヒュームの拡散を防止することができます。
複数の科学的研究結果によると、ヒューム発生源でのヒュームの吸引すなわち、溶接工程において直接溶接ヒュームを吸引することは、ヒューム回収方法における最も効率的な手段であることが明らかになっております。溶接のポジションに依存しながらも、この吸引システムによって95%以上の全てのダスト粒子(>0.1μm)が溶接ヒュームとしてフィルター処理される形となります。
ロボット溶接時にヒューム発生源からヒューム吸引するメカニズム
半自動溶接ヒューム吸引トーチは、特別な吸引ノズルによって溶接ヒュームを回収致します。このような吸引ノズルはロボット溶接用トーチにとってはむしろ使い難いものとなる為、ロボット溶接におけるヒューム発生源でのヒューム吸引を実現する為には、半自動溶接の場合とは異なるアプローチが必要となります。
溶接ロボットは、可動範囲が限定的で動き難い溶接姿勢を強いられた中で稼働していることが一般的な使用状況となるかと思います。その為、新たに溶接ヒューム吸引システムを追加する場合は、産業用ロボットの動作を遮らない方法にてそれを取り付けられることが必須条件となります。またそれと同時に、吸引性能を低下させない為に、溶接プロセスに対してヒューム吸引口を十分に近づける必要性があります。
xFUME® ROBOヒューム吸引キットのデザインは、どんなMIG/MAG溶接ロボット用トーチにも簡単に取り付けることができ、取付後もその取付前と同様に、姿勢の厳しい溶接動作や軽快な溶接動作を実施することが可能となります。溶接プロセスから直接吸引された粒子は、ホースを通して高性能真空式ヒューム吸引装置へと導かれます。ABICOR BINZELのxFUME® ADVANCEDの様な高い性能を持つヒューム吸引装置であれば、多量のシールドガスを意図せずして吸引してしまう、というリスクを回避することができます。
ヒューム吸引キットxFUME® ROBOは、アダプタースリーブを使用してロボット溶接用トーチネックに取り付けることができます。このスリーブによって、厚みの異なるトーチネックへの取付が可能となります。すなわち、直径の異なるトーチネックへの取付が可能であり、様々な直径に応じて簡単に調整することができます。2つのシリコン製吸引ホースは、Y字型溶接ヒューム用コンジットに接続されます。この構造によって、シリコン製ホースの取付作業には工具を必要としないことに加えて、メンテナンス作業が容易なものになっております。
有害な溶接ヒュームはガスノズル後部から回収されます。このヒューム回収のメカニズムは、溶接姿勢の厳しい場合であっても、ロボットトーチが溶接プロセスへアプローチする際にその良好な動作性能を損なうことがありません。
接続された高性能真空式吸引システムは、高い静圧能力と比較的低い流量によって、ヒューム発生源からのヒューム吸引を実現しています。吸引された溶接ヒュームは、ヒューム吸引装置へと運ばれ、内部フィルターにて回収されます。
ヒューム吸引に関するブログ
ヒューム吸引に関する更なる情報は弊社の »ABIBLOG« をご覧下さい。
対象製品: xFUME® ADVANCED
xFUME® ADVANCED – ABICOR BINZELのヒューム吸引トーチに最適
対象製品: xFUME® FLEX
溶接ヒューム吸引に関するその他の動画は、»ABICOR BINZEL YouTube channel« からご覧下さい。